べんがら格子の木戸の向こうから三味線の音が聞こえる。ここは行きつけの陰間茶屋。
男を買う御茶屋だ。
注)陰間茶屋>かげまちゃや 昔京都にあったらしい。芸者置屋の男の子版。
「金太郎君をたのむ。」
茶屋の主人にこの店のナンバーワンの子を御指名した。
「すみません金太郎は今予約が入ってまして…。」
やれやれ、やはり人気のある子は競争率が激しい。一杯やりながら待つとするか。で
も、前の御座敷がはけるのはいつになることやら‥。
「昨日新しく入った子がおりまして、それならばすぐにお付けいたします。いえ、ま
だ接客などなっていませんが歌も踊りも一通りできますので、退屈されることはない
と思います。それにピチピチですぜ、ひゃっひゃひゃ。」
主人のポン引きみたいな笑い顔に押されて、そのニュ-フェ-スをたのむことにした。
連れられてきた子を見て、少々面喰らった。思っていたよりずっと若かった。
「名前は?」
「児太郎。」
えらいタメ口だな、まだ口のきき方を知らないらしい。
離れの座敷へ向かう途中一番気になることを聞いてみた。
「お前はちゃんと『仕事』ができるのか?」
「バカにすんなよ!」
児太郎は足を止めた。
「いずれボクはここのナンバーワンになるんだから、旦那になるならいまのうちだぜ。」
そう言って、腿までしかない短い浴衣をめくり上げた。こいつ男の誘い方だけは一人
前だ。
「それに、ボクの得意技の舌技を知ったらあんたもメロメロさ。」
仲居が酒と料理を運び入れると、児太郎はさっそくおしゃぶりをおねだりしてきた。
まだ少年でもさすがにプロだ、目の前に突き出されたものをいやがりもせず、下から
上へ丹念に舌を這わせはじめた。
全体を丹念に嘗めあげると、正面からぱっくりとくわえこみ、唇と舌を同時に使って
扱くように首を振る。柔らかな唇で挟み込まれたものは児太郎の唾液と溶け出した液
で瞬く間にねっとりと濡れる。
な‥生意気なことを言うだけのことはある。溢れ出る液を丁寧に嘗め取りながら集中
的に先端部を攻める。そしてまた全身を使って唇で扱きあげる。児太郎の身体も上気
し、息が荒くなっていくのがわかる…。
オレは児太郎の身体を抱き寄せると細い腰に残った下帯に手をかけた。
「もう…裸にすんのかよ‥。」
「生意気なことを言った罰だ。素っ裸で酌をさせてやる。」
「あ…」
微かな衣擦れの音とともに下帯は解かれ、まだ幼いそれを夜風に晒してやる。
「ん‥‥」
ポッと児太郎が頬を赤らめた。
可愛いもんだ。まだ裸を見られることに抵抗があるらしい。
裸の少年の身体を抱き締め、唇を奪う。
「んっ‥ふ…」
仄かにミルクアイスの味がした。まだキスも下手だ。
「やさしく‥してよ…。」
「ああ、心配すんな。今夜一晩じっくり可愛がってやるさ。」
どうやらオレはこの小さな陰間にお熱になってしまったようだ。スベスベの肌に掌を
這わせながら「若い子はええのう」等とおっさんのように思っているのだった。