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愛する旦那様 

征四郎はゆっくりと足を開いた。

「ふ・・・宗次様・・、」
「そら。したいようにしてごらん。好きなように。」

征四郎は自身のモノを扱きながら指を後ろにも滑らせ、くっと入れて刺激した。はぁ・・・っと息が漏れる。
赤く張れた前からは透明なものがじんわりと浮かび上がってくる。

征四郎は目をつむって、宗次の男根をその綺麗な指で摩った。
熱が指に伝わってくる。そして征四郎は思うのだった。

愛する旦那様のモノが自分を狂わせてくれる。
その快感があと少しで・・・。

「三松屋さんの所に妖しい噂があるってのは聞いていましたが。こんな事とはね。」
「別にそう隠してはいないのですよ。ただあまりはっきりと他人様にお教えするのは惜しい、って方が意外に多くて。」
「多くて?はは、そんなにいるのですか?」
「まあ、普通に色恋するよりはって事ですよ。」

念願の隠居を果たした元三松屋の主人は煙管をぽん、と軽快な音を鳴らして煙草盆に灰を落とした。

「隠居生活になって私も自由だし、この征四郎にもどうにでも好きにおし、と言ったのだがね。」

征四郎と呼ばれた青年は美しい横顔を見せて部屋の隅のほうにしゃん、と背筋を伸ばして座っていた。
幸嶋屋の主人である宗次は、決して優しげな、とも思わないが冷たく感じるという訳でも無いその表情にしばし見入った。

「三松屋をお継ぎになった息子さんは征四郎さんの事は?」
「あいつは頭が固いのでね。若旦那、と言われてる時にもっと遊んで世間を知って欲しいものだとこっちが思ったものです。」
「征四郎さんはじゃあこれからは何のために他人に抱かれるのです?」

宗次は質問を征四郎に投げかけた。
ゆっくりと征四郎は宗次の顔の方へ向き直り、笑みを漏らして
「私自身の快楽と・・・三松屋さんの・・・ご隠居様を喜ばせたくて。」
と言った。
その表情は吉原で見る花魁のようだ。
自分に自信のある者の笑み。
決して自分を卑下せず、かといって対峙する者を見下したりはしない。
ただそこに平常とは違う物を感じさせる。
日常では触れる事が無い物。
それは人を嵌めるにはたやすい感覚だ。

「私が抱いてやれない事情ももちろんご存知でしょう。子を成した後に大病をして不能になってしまった。」

それはもう全く気にはしていない、と言わんばかりの余裕の笑みで、深く煙管から煙を吸い、美味しそうに飲み込んだ。

「だから妻は私が吉原に通おうが陰間の所に行こうが全く関心が無くなったという訳です。」



征四郎はまだ陰間茶屋の布団運びをしていた少年だった。三松屋にの主人が来ると店がわっと賑やかになるので店の裏にいてもわかったものだ。
吉原で総揚げしたとか、とにかく名が知れていた。
本人は子供を数人作った後に不能になったので女も男も抱かずにただ粋な遊びをしてお金を落としていくという人物らしく、店の者に有り難がられていた。
それがやはり、自分の身体を気にしての散財だったんだよ、案外私も小さいものだ、と後で三松屋の主人は笑いながら言った。

「そこの子は器量良しになりそうだね。」

その一言で征四郎は身請けされた。というのも、その頃気に入って世話をしてやっていた芸妓の身の回りの世話をさせるつもりだった。
芸妓を抱いてやれない分、そんな器量良しの下働きがいて、その子が大きくなれば相手にもなるだろうからと思ってしたことだった。

数年後、芸妓は征四郎が男を寝取った、と憤慨した様子で三松屋の主人に泣きついた。
三松屋は何もかも、ただ傍観するという事が楽しみであったので、仲裁などはしなかった。
すると芸妓は征四郎をののしって出て行ってしまった。

「征四郎は?どうする?」
「私は・・・本当は旦那様に抱いて頂きたいのですが・・・。」

唐突な告白に主人は面食らったが、それは無理だと微笑んで答えると、にこり、と征四郎も笑って返した。

「旦那様、河本様をお呼びになって下さいませ。」
「あの?河本を?」
「私を抱きたいとおっしゃっていたのです。」
「いつ?お前といつ会ったのだ?」
「三松屋と八田屋とどちらと取引きしようかと考えている最中のようで・・・。あのような細かいお方ですから色々旦那様の身辺を調べているご様子の時に・・・。」



河本は屋根船に招待されて、そこに征四郎がうやうやしく座っているのを見ると事を察知した。
三松屋の主人が船頭にちょいと袖の下を渡すと両脇の簾を降ろし、前後の障子を閉めた。



気品のある征四郎の姿態は男に組み敷かれていても変わらなかった。

「ああ・・・っ  河本様・・ 私は・・・他人にこの交わいを見られるともっと燃え上がるのです・・・。ですから・・旦那様に見て貰いたいのです・・・!」

当然河本は戸惑ったが、征四郎の乱れる様が見たくて、障子か、簾の隙間からなら・・・、と承知した。

こうして征四郎はどこからか良い話を持ってきては次々と身体を重ねた。男を抱くなどという事に全く興味が無い筈の旦那衆すら何故か征四郎の手管には落ちるらしい。
そしてその行為を必ず三松屋の主人に見せた。
抱かれている時に数回目が合う。
そうすると征四郎は本当に感じるらしく、眉をよせ、身体を震わせて快感を味わった。

おかげでよりいっそう三松屋は繁盛した。
征四郎の事が噂にはなったが、悪く言われるどころか、それならば私も是非、という輩の方が多かった。

「嫌じゃないのか?せっかく陰間にならずに済んだというのに。同じような事を。」
「旦那様に私は抱かれているのですから・・・。旦那様はお嫌で?」
「いいや、本当にお前を抱いてる気分になる時があるよ。」




宗次は長い征四郎の髪に口を付けた。
綺麗な首に吸い付く。ああ、いい肌だ、と言って手を胸に滑らせる。

「三松屋さんの新しい旦那様はあなたに感謝しなくちゃね。影でこうして三松屋さんをまだ支えてる。」
「そんなつもりは・・・」
「そら、あっちで旦那様が見ているから大きくその赤く張れたモノを見せておあげ。」

征四郎はゆっくりと足を開いた。

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「ふ・・・宗次様・・、」
「そら。したいようにしてごらん。好きなように。」

征四郎は自身のモノを扱きながら指を後ろにも滑らせ、くっと入れて刺激した。
はぁ・・・っと息が漏れる。
赤く張れた前からは透明なものがじんわりと浮かび上がってくる。

征四郎は目をつむって、宗次の男根をその綺麗な指で摩った。
熱が指に伝わってくる。そして征四郎は思うのだった。

愛する旦那様のモノが自分を狂わせてくれる。
その快感があと少しで・・・。