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茶屋 

「意地悪をしないで下さいな・・・」
「何を。どんなのが意地悪というのだね。こういう焦らされるのが好きじゃねえか。」
「友秀殿・・・またそんな町民のような言葉使いを・・あっ・・」
友秀の指がくるり、と籐耶の菊座を撫でた。

数軒の茶屋がならんだその二階に友秀は二日ばかり居つづけていた。
「友さん、何を見ておいでだい?」女が背後から声を掛けてくる。
格子の先に見えるものを指さすと、女もぐっと首を伸ばしてそちらを見やった。
「ああ、籐耶かい。」
「たまに聞こえてくる門付けみたいな真似してんのはあの子かい。」
「そうだよ。・・・若様の悪い癖がでそうだね。ああ、いやだいやだ、帰っとくれ。」
女にそう言われ、苦笑いしながら立ち上がった。